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2010年4月26日 (月)

最高裁がスーパー判事を裁き、議論真っ二つ

バルタサル・ガルソンという有名な判事がいます。
彼は一般には「スーパー判事」としてよく知られた人物。
政府がアンチ・テロという名義のもとに、テロ行為を行っていた「GAL事件」、
チリの元大統領ピノチェトに対する公判を手がけ、スペインの市民戦争で亡くなった多くの犠牲者の
「正義」のために尽力している人物。
240px1
スペインのWIKIPEDIAより。54歳。
http://es.wikipedia.org/wiki/Baltasar_Garz%C3%B3n#Instrucci.C3.B3n_del_caso

2006年ごろ、全国管区裁判所に訴えが届きます。
これはスペイン市民戦争に関する歴史的記憶を保存するための訴えでした。
2008年までこの訴訟は手付かずだったのが、スーパーなガルソン氏が着手。
全国の市役所、市民登録所、防衛庁や歴史的記憶センターだけでなく、カソリック教会の司教会にまでも
戦争中の失踪者、暗殺者の名前とその身分を明らかにするようにという通達を出します。

が、失踪者の捜索というのは、彼の属する全国管区裁判所の守備範囲ではないという解釈も出はじめます。
一方、極右団体「Manos Limpias」が起こした訴えが通ってスキャンダル
巻き起こします。これはガルソン氏が
「フランコ独裁と市民戦争中の犯罪」についての調査を始めたことに対する訴え。
この極右団体は97年から同様の訴えをガルソン相手に突きつけ続けている人々。
そんな中、さらには
ガルソン氏がNYへ講演に言った際の経費のでどころや、その報酬の申告漏れ、
法務省大臣との狩猟旅行(大臣はこれで失脚)、
その他多くのいいがかり?と背信罪という罪状が付いて、とうとうスーパー判事が裁判所の被告席に座ることに。
最高裁でスーパー判事は裁かれる側に座りました。
4月半ばに公判が始まってから、国内の議論はオーバーヒート気味です。

 裁判用語で難しい解釈を難しく伝える報道も、一般市民には、そのままには届きません。
「市民戦争時の犯罪を調査するその判事を阻む=フランコ独裁の悪を裁かぬままにしようというのか」
という解釈です。どんな罪状をつけようとも、ガルソン判事がこれ以上調査・訴訟を続けさせないための
画策という「悪者」VS「正義の味方」の図式。

先週土曜日には、スペイン国内21箇所と7カ国にわたって、ガルソン支持のデモ行進が行われました。
主催者側の発表では10万人(新聞社調べでは6万人弱)がマドリードに集結。
政府閣僚の出席はナシ。
与野党側政治家の出席はかなり低く、アーティストや作家などが名を連ねました。

野党党首のラホイ氏はこのマニフェストを
「首相に是非説明してもらいたい。最高裁の権威を信じるのか、いくらかの人が集まっただけで、この国の将来の法的権利を決めることができるようになってしまうのか」
と、怒ってらっしゃいます。

「悪者」VS「正義の味方」が普通なら、どうやっても「正義の味方」が勝ちますが、
スペインが難しいのは、どっちの側も半分ずついる。圧倒的多数の意見、というのがないのです。
「悪者」と見られた側も、負けてはいません。
「戦争を裁くなら、どちらも加害者。どちら側の犯罪も調査すべきだ」
という最もな意見も出てきます。
新聞もカラーによって扱いが逆転。アンチガルソンな新聞社はスーパー判事はこれだけの案件をかかえながら、
サッカー観戦、オペラ観戦に余念がないなどという横槍で、読者のガルソンイメージを揺るがします。

ガルソン氏に対する裁判を止めよう!という動きには、
共和国派も熱心に参加。
4月半ばにソル広場で行われたデモでは、第3共和国化を訴えて、共和国の旗もひらめきました。
共和国に傾くたびに、この国は政情不安になり、それが市民戦争につながったんじゃなかったっけ・・・・。

・・・・結局、この国はふたつに分断されたまま、分断し続けてゆくのかしら・・・と。
両極端の国に、いつか中道政治は来ないのでしょうか?!
中道的なまぬるい解決法など、解決しないに等しいのかな・・・。やっぱり「勝ち」「負け」で決めないとだめなのかな・・と、思います。

 昨日、セルビア人の友人と「市民戦争ほど残酷なものはない」という話をしていたばかり。
私は偶然にも、ここ最近日本の歴史をおさらいする機会があったのですが、こうしてみると、徹底的に打ち負かされ、「外国」に負けた戦争で、実はよかったのかもしれない・・・とまで思うようになってしまいます。
 またも、曖昧な私は両極端の意見に右往左往するのでした。

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